水道税、値上げ論 業界再編でインフラ整備

 政府の水道税引き上げ法案に対する国民の反応はまちまちだが、識者は水道産業のインフラが改善され、消費者により良いサービスが還元されるための増税は正当化できる、と指摘する。


 政府の水道業界再編に関する水道税引き上げ案の発表を受け、昨年初めに6つの州政府が同意。これに伴い、改正された水道税が近く閣議に提出され、決定が下されると報告されている。


 現在の水関税は1000リットルの水に対して、1.38リンギ(約36.95円)。


 ゼイビア水・土地・天然資源省大臣は5日、関税引き上げ案に同意していない州は、消費者にきれいな水を供給するためのメカニズムについて、同省に提出するよう求めると述べた。これは、処理水の調整や管理コストが高く、水に関する混乱に対処するべく是正措置を講じる必要があるためだ。


考慮すべき要因


 マラヤ大学生物科学研究所の科学環境管理プログラムのグフラン・レッツワン准教授は、関税引き上げはリーズナブルである必要があるが、新料金が確定する前に、消費者の支払い能力や(関税改定の有無に関する)意欲などの要因について検討する必要がある、と述べ、「関税引き上げが水道サービスの質の改善を伴うものであれば、消費者はエネルギー業界と同様、水道業界の重要性に気付くだろう」とベルナマに語った。


 同氏は「関税の引き上げにより、水利関係者はより多くの資本を配管システムの交換や改良などの整備工事に注入し、クリーンな処理水を消費者により効果的に配給することが可能になる」と述べ、また、「コストがかかる工事になるため、水道税を引き上げる必要がある。実際に、水の関税に関しては20年間見直されていない」と加えた。


 処理水は安価ですぐに手に入るという認識を持っている人々もいるが、それは大きな間違いだ。「我々の水資源はますます汚染されつつあるだけでなく、限りがある。水道管の老朽化は水道業者が直面する大きな課題だ」とも付け加えた。


 水質保障


 同氏はまた、水利引き上げ後に、消費者がより良いサービスを享受できるかどうかは、政府による配管システムの整備次第、とも述べた。


 水処理上の処理水は、保健省の安全基準に準拠しているが、長い年月を経て古くなり、さびて汚れている。この古い配管が原因で、消費者の手にわたるまでに、水のクオリティが低下している可能性がある。


 同氏は、全国的な水関税の標準化に向けた政府の方針に同意する一方で、各州の運用やインフラ整備にかかる費用が異なることを考慮した場合、問題が生じる可能性も否めない、とも指摘する。また、政府は貧困層に無料の水を与えることを検討すべきとし、今回の動きに関する貧困層への対応が焦点になる。


 実際に、水道税の10%引き上げは妥当と考えられるが、50%以上となると、消費者への負担がかからないよう、段階的に実施すべきだとの見解を示し、「例えば、関税50%あたり、消費者は立法メートル当たり、1.80RM支払う必要が出てくるだろう。従って、現在の平均支払額が30RMの場合、50%の引き上げで月45RMとなり、これは消費者の負担になるだろう(同氏)」と試算した。


無収水の削減


 マラヤ大学経済学部経営学科のクップシャミー・シンガラベロー准教授は「関税引き上げは、無収水(NRW ; Non Revenue water)の削減に役立つ」と語る。無収水は処理工場で作られるが、水道管の漏れやメーターの故障、不正消費などの理由によって、消費者宅に届かない、とし、「全国で無収水の割合は約35%にのぼる。つまり、消費者に届くべき3分の1の水が失われている」と指摘し、水道業者や供給業者が継続的に損失を被ることのないよう、消費者もこの無収水の損失を負担する必要がある、と述べた。同氏は兼ねてより、消費者に過度の負担とならないよう、水道税の小幅な利上げを政府に提言している。


 一方で、マレーシア水・エネルギー消費者協会会長のT・サラバナン氏は、高い水道税の導入により、処理水供給部門のサービスが改善されるため、水の配給制に終止符を打つことができると言う。また、政府が既存の配水システムを改善するための計画を立案したり、そのイニシアティブをとる可能性もあるとしている。その一つが消費者が水の消費量を知ることができるスマートメーターの導入だ。


 「日々の必要性に応じて使う水の量を制限するなど、節水策を講じることができるようになり、水の無駄遣いがなくなっていくだろう。気候変動の影響により、水不足が頻繁に起こるようになるだろう。近年の極端な干ばつによる水危機に直面しているケープタウン、南アフリカの教訓から学ばなければならない」。(ベルナマ、1月29日)