大気の質、低下 規制緩和で

 街や通りに雑踏や喧騒が戻りつつある。企業は事業を再開し、人々は州をまたいだ自由な往来ができるようになり、買い物客はモールに群がるようになった。


 だが、マレーシア上空の大気の質は、ここ1カ月で少し悪化している。ペナン、イポー、シャー・アラム、クアンタン、セレンバン、マラッカ、パシル・グダン、クチン、コタ・キナバルなどの地域では、主に自動車から排出されるガス、二酸化窒素が急上昇。ザ・スター紙(日曜版)によると、環境省はこれら地域における6月10~22日の期間の(二酸化窒素の)増加率が1%から157%に達したことを明らかにした。


 また、クラン・バレー域における大気中の二酸化硫黄も増加した。二酸化硫黄は燃料燃焼装置、特に発電や産業、自動車などの工場施設で発生する大気汚染物質。バツムダ、クアラルンプールのケラス、プトラジャヤ、ペタリングジャヤ、シャーアラム、そして、クラン、バンティングの各観測所からのデータを収集したところ、条件付き規制措置期間の二酸化硫黄は5~64%増加した。ペナン、イポー、シャーアラム、クアンタン、セレンバン、マラッカ、パシル・グダン、クチン、コタ・キナバルでも同様の結果が観察されたという。


 これらのガスが増加する一方で、現在の大気の状態は、政府による制限措置導入前に比べ、全般的にきれいな水準だという。環境省のデータによると、ロックダウン中の微小粒子物質(PM2.5)、一酸化炭素や地上レベルオゾン(悪いオゾン)などその他大気汚染物質の大気中の濃度が減少した。


 マレーシア政府は新型コロナウィルスの感染拡大を抑制するために、3月18日から移動制限措置を導入。必要不可欠でないとされる一部のサービスやビジネスの業務が一時的に停止、旅行も制限された。経済活動が大きく減少したことで、大気汚染が全国的に改善されたと3月29日付のザ・スター紙(日曜版)が伝えている。


 環境省によると、規制期間中の5月4日~6月9日、大気の質が改善。大気汚染指数(API)の値は、移動制限措置が施行された3月1~17日前に比べ、約53%にまで増加した日が続いたという。


 条件付きの規制措置期間中では、警察の許可がない限り、州間移動も禁止された。その間、一部の従業員は職場に戻れず、多くの企業は従業員に対しリモートワークを導入。多くの人々が自宅で過ごす時間が多くなり、(大気汚染物質の)排出量が減少した。


 Our World in DataにあるグーグルのCovid-19コミュニティー・モビリティ・レポートによると、マレーシアの人々は3月18日から5月3日の期間、自宅で過ごした時間が1月や2月に比べ約30~40%長いことが分かった。また、5月4日から6月9日までの期間については15~30%、その後の6月10~24日に関しては5~15%という結果になったという。これらデータは、パンデミック下で人々の動きがどのように変化したかを示したもので、グーグルマップなどのアプリから匿名で収集された。


 だが、6月10日から導入された回復に向けた規制緩和により、大気の質は再び低下し始めた。自動車利用や産業活動の増加は、国内の大気汚染の動向に影響を与える大きな要因となる。州間移動が解禁となり、多くの商業・産業施設の再稼働を果たし、多くの人々が外出するようになった。これにより、大気中における汚染物質の割合が増加。MCO導入前と比べ、大気の質はわずか32%の改善となった。


 海洋・地球科学研究所の上級研究員、アジザン・アブ・サマー博士チームは、規制措置期間のクランバレー周辺6カ所における大気の質を監視した結果、自動車から排出される二酸化窒素や一酸化炭素などの物質が急増、大気中の汚染物質の増加傾向が見られたとしている。同氏は「空気中に浮遊する粒子、PM2.5やPM10は5月末から増加している」としながらも、MCO以前に比べると依然濃度は低いと説明している。


 また空気中のこうした粒子の急増について、「インドネシアのスマトラの農家がバイオマスを燃やし続けていることによるもの」とし、風向きにより煙がクランバレーに向かうことに起因していると説明。またスマトラで行われるバイオマス燃焼は通常7~9月に行われると警告し、「大気汚染を防ぐため、ホットスポットの監視も含め、インドネシアと話し合ってしていかなければならない」と述べた。(ザ・スター/7月5日)

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