中古車の売り上げ増加

 2020年の中古車市場は、新車市場より早く回復すると予測されている。新型ウィルスの世界的流行による経済の先行き不透明感を受け、多くの買い手が引き続き慎重な消費姿勢であることが予想されるためだ。


 マレーシア自動車・クレジット企業協会連盟(FMCCAM)のトニー・コー会長は、新型コロナウィルスのパンデミックにより経済の不確実性が生じた結果、保守的になった多くの人々が安い中古車を買うようになっている現状を指摘。「経済回復にどれくらいの時間がかかるか不透明なことから、車を買おうとしている人の多くは、経済的な中古車に頼ることになるだろう」と述べた。また新型ウィルスの危機は収束せず、依然、公共交通機関を利用することに躊躇している人々の現状に言及し、「通勤や日常の交通手段などの定期的な移動に、車は必要不可欠だ」と本紙に語った。


 加えて同会長は、「最近の日本車やドイツ車の多くは、20年先でも通用する技術が搭載されている。たとえ車のモデルが古くても搭載されている技術は使えるので、顧客の購買意欲を妨げることはないだろう」という見方を示し、4月の中国の中古車市場が80%近くまで回復したことにも言及。だがマレーシアの中古車市場が昨年を上回ると予想しておらず、現実的な見方を変えていない。現在、一部のセクターを除いて多くの企業が業務再開を果たしたものの、ビジネスが中断されない通年との比較は難しいとしている。


 マレーシア政府は新型コロナウィルスの感染増加に対応すべく、3月18日から移動制限令(MCO)を施行。4月以降、ビジネスの稼働が事実上停止した。その後政府は国の経済回復を図るために5月4日、条件付き移動制限令(CMCO)を発令。本規制は6月9日まで施行される予定である。


 「CMCOが発表され、中古車ディーラーは直ちに販売店舗や車の清掃に取り掛かり、現在中古車事業の40~50%が操業を再開した。取引は積極的に行われている」(同会長)。実際にこの短期間のうちに相当数の購入予約が申し込まれているといい、「ディーラーからフィードバックが心強い」と語っている。また、事業施設における社会的距離の維持の奨励や、顧客へフェイスマスクやハンド・サニタイザーなどの提供を行うなど、衛生状態の徹底管理にも余念がない。


 フロスト&サリバン・アジア・パシフィック社のシニア・バイスプレジデント兼アソシエート・パートナーのビベック・バイジャ氏も、同様の見方を示している。同氏は「新車販売に関して、2020年の業界売上高は(TIV)は前年の20~30%を下回る見通し。新型ウィルス危機の影響は市場全体に及ぶだろう」と述べた。加えて、「日々の通勤用に購入された自動車への影響は限られるだろうが、自由裁量的な購買、つまり余暇の目的で購入される自家用車は影響を受けるだろう」と言及している。


 マレーシア自動車業界は4月、2020年のTIV見通しを60万7千台から40万台に下方修正すると発表。TIVが50万台を下回るのは2017年の約48万台から13年ぶり。40万台の売り上げ見通しは、2019年の60万4287台に比べ34%の縮小となる。また2020年3月までの売上高も10万6428台と、前年同期の14万3036台からも減少した。


 同氏は、「MCOの終わりは危機の終わりではない」と警笛を鳴らす。MCOの解除は危機を終結させるためのたった一歩に過ぎないと述べ、「新型ウィルスへの感染症例数や確固たる指標の数値が明らかに減少するか、集団免疫の構築やワクチンが利用可能がいつになるかを見極めなければならない。もちろん、危機が収束したということを示すほかの指標がでてくるかもしれないが、顧客が元のような購買行動に戻るのは、すべてこの危機が終息した後。一部の消費カテゴリーは増加するだろうが、自動車セクターの決定的な回復には、本規制の解除よりも、より強い指標が必要となるだろう」と語った。(ザ・スター/5月12日)

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