マレーシア中銀、0.50%利下げ 政策金利は10年ぶりの低水準に

 マレーシア中央銀行(BNM)は5日の金融政策委員会で、政策金利(無担保コールレート・オーバーナイト物:OPR)を0.5%引き下げ、2%にすることを決定した。今回の引き下げで1月、3月に続く今年3回目の連続利下げとなり、トータルの引き下げ幅は1%となった。これは2008~09年のリーマン・ショックに端を発した世界金融危機以来の水準。中銀が0.5%の利下げを実施したのは、政策金利が2%となった2009年2月24日以来だ。


 中銀は声明で、今回の利下げは他の財政金融措置同様、今年に入って発表した財政措置を補完するものとしている。各国の新型コロナウィルスを封じ込めるための措置により、世界経済が混乱し、状況は著しく悪化。最近の指標によれば、リスク回避と不確実性の高まりにより金融情勢がひっ迫、世界経済は既に縮小し、今年の世界経済成長率もマイナスになると予想されている。


 ただ、多くの国が導入した実質的な経済刺激策と、新型ウィルスの封じ込め対策の段階的にな緩和により、新型ウィルスによる経済へのインパクトを部分的に緩和されていくだろうという見方も示した。また、2021年はパンデミックの抑制も期待されていることから、成長見通しは改善されるとしている。


 一方で中銀は、国境封鎖と弱い外需に加え、世界で行われているウィルス封じ込め措置の拡大により、マレーシア国内の経済活動がさらに圧迫されるだろうと指摘。移動制限令(MCO)についても、ウィルスの拡大を抑えられる一方で、生産能力と支出の制約が出てくる。そのうえで、労働市場と経済情勢の両方が厳しいものになると予想し、今回の金融・財政政策による景気刺激策は、経済を下支えするためのものと位置付けた。


 また、規制緩和に伴い、新たに導入された条件付き移動制限令(CMCO)下で、事業が再開したことで、同国の経済活動は徐々に改善していく見通しだが、成長見通しは、特にパンデミックを取り巻く動向により、未だ不透明であるとしている。


 また石油価格の急落により、消費者物価指数はマイナスになり、今年はインフレ圧力が抑制されるとの見通しも示した。その意味でマレーシアの経済見通しは、常に変化する需要条件に加えて、石油や商品価格による影響が大きいと言及している。また、国内経済成長率の低下見通しと労働市場の状況により、基調インフレ(コア指標)は抑制される見通し。


 一方で、マレーシアの金融部門は強い資金力と流動性バッファーにより、健全に営業していることに言及。現時点での流動性は潤沢だが、さらなる流動性の注入により強化していくとした。中銀は3月以降、政府による政府証券の買い上げ、リバースレポ、法定準備預金額の削減を通じて、追加の流動性資金420億リンギを注入している。また、秩序ある市場を確保するため、銀行間市場の流動性を確保することで金融仲介業務の支援に役立てると付け加えた。


 金融政策委員会は、引き続き、国内成長とインフレの見通しを監視していくとともに、中銀は、持続的な景気回復のためを実現可能にするために、適切に政策レバー(政策的なてこ入れ、介入点)を活用していくとした。(ザ・エッジ/5月5日)

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