ハングリー・ゴースト月、到来

 祖先の霊がこの世に戻ってくるとされる「盆」。日本では、7月15日、または8月15日(地域によって異なる)に霊を祀る行事が行われます。

 元来は中国の道教を起源とするもので、中華圏では旧暦の7月を中元、またはハングリー・ゴースト月と呼び、約1カ月に渡り霊を弔います。今年は8月19日~9月16日に該当し、マレーシアにおいても中華系コミュニティを中心に、各種行事が繰り広げられます。



ゴースト・マンスと呼ばれる理由


 新年から数えて7番目の月(鬼月)を迎えると同時に冥界の門が開き、空腹を抱えた死者が現世を訪れると考えられています。これは、冥界を司る帝の誕生日が7月15日であることから、この月に入ると死者は地上に降りることを許され、様々な罪が赦されるためとか。現世の住民は、1カ月に渡り祖先を自宅で丁重に迎え、また訳あって現世でもてなされない霊が満足するよう、路上に供物を置き、香を焚きます。

 この時期には、京劇やコンサート、カラオケ大会なども催されますが、これももてなしの一環であるため、最前列は彼らの席として空席とするのが一般的です。


 帝の誕生日は「中元節(ハングリー・ゴースト・フェスティバル)」と呼ばれるゴースト月のピークで、今年は9月2日。灯篭流しに加え、祖先があちらの世界で困ることのないよう、冥界用の紙幣や車、テレビ、家具、土産物(すべて紙で作られたもの)を燃やして捧げ、彼らの冥界での安寧と、今世を生きる者たちへの庇護を願います。


コロナウイルスの影響を受け、今年は静かに


 今年はコロナウイルスの影響を受け、各種行事は軒並みキャンセル。「今年は祖先を家でお迎えする」スタンスで、例年400以上のイベントが開催されるペナンやマラッカも、今年は静かなゴースト月を迎えそうです。


日本の「中元」文化の由来


 日本ではこの時期、お世話になった方々に「お中元」として贈り物を送るのが一般的。これは江戸時代に「先祖のみならず、今世でお世話になっている方にも贈り物を」との考えが定着したことによるものです。中元節に実施されることから、次第に贈り物自体を中元と呼ぶようになったようです。


 この時期、中華系コミュニティの間では、旅行、引っ越し、結婚、起業、水遊びなどは忌避される傾向にあります。理由は「霊がいたずらするかもしれないから」。

 

 みなさんもハングリー・ゴースト月にご注意を。


(文・写真/渡部明子)





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