チョウ・マンイーさん 食とアートのデザインで2021年「ふろしきデザインコンテスト」優勝


 サンウェイ大学(セランゴール州スバンジャヤ地区)でデザインを学ぶチョウ・マンイーさん(21、写真下)。マレーシアでデザインを学ぶ学生を対象に実施された「ふろしきデザインコンテスト」(国際交流基金クアラルンプール事務局主催)で、「THE WAVE TARIK(テタリの波)」と題した作品で見事優勝を果たした。


 F&Bビジネスの起業家になるべく、サンウェイ大学へ入学。「時間に余裕のある学生の間に、好きなデザインを学んでおこう」と受けたクラスの講師の目に留まった。


 恩師から「必ず応募するように」と勧められた今回のコンテスト、提出の期限が迫るもアイデアはなかなか湧いてこない。レストランでの飲食が可となったある日、家族と入ったお気に入りのママック(地元のカジュアルなインド系ムスリムレストラン)で、店員が2つのカップを駆使してテタリ(マレーシアの甘いミルクティー)を作る場面にハッとする。


 カップから流れ落ちるテタリが、北斎の波そのものに見えたのだ。皿に盛りつけられたサテーもデザイン画として見え始めたという。いてもたってもいられなくなり、帰宅後早々に作品作りを始めたチョウさん。日本の伝統・文化、ふろしきについても十分に調べ、試行錯誤を繰り返した末、敢えて、大きなテタリの波を中心に描き、背景にはケタパッ(バナナの皮を編んで作った容器に米を詰めて蒸したもの)を日本の伝統である刺子風にシンプルに描くという構図を選んだ。着色に関しては、カップを実物に近い色で表現し、そのほかは和の色を重んじた。こうして、瑞々しい勢いがあり、マレーシアと日本の文化がバランスよく溶け合う、モダンでありながら伝統を踏襲する作品が誕生した。


 チョウさんは今、大学の最終学年を迎えている。昨年3月に始まったオンライン授業はなお続く見通しで、大学生活の大半を自宅で過ごすことになりそうだ。だが、「この現実を悲観することなく受け入れ、日々の暮らしの中に芸術性を発見し、形として生み出すことが楽しい」、と奥ゆかしく微笑む。また、彼女の才能を見出し、人生の方向性を示してくれた恩師との出逢いに感謝し、その出逢いをもたらした大学生活にも満足している、と静かに語る。


 卒業後はマルチメディア・デザイナーの道へ進むことを検討中。日本をきっかけに、才能を一気に開花させたチョウさんの次の作品が楽しみだ。


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